ハイ!OKKAです!
「樽による熟成」が行われるのがウイスキーの特徴。
でも、「バーボン樽とかシェリー樽とか聞くけど、どう違うの?」と疑問に思っている人も多いと思います。
当然ながら、熟成した樽によって、ウイスキーの味には違いがでてきます。これを知っておくと、ウイスキーがさらに美味しく飲めますよ!
ということで、今回は「樽によるウイスキーの味わいの違い」について解説していき、さらにそれぞれの樽の「おすすめウイスキー」も紹介していきます!
樽の種類は、大きく分けて、次の2つの分類ができます。
1.「その樽に、以前何の酒が入っていたか」(酒類別)
2.「その樽は、どんな材質でできているか」(材質別)
順番に見ていきましょう!
ウイスキーの樽の種類 酒類別
バーボンは「新樽」(新しく作った樽)を使用することが決められていますが、多くのウイスキーでは、「以前何かの酒が入っていた樽を再利用」しています。
「その樽にどんな酒が入っていたか」ということで、ウイスキーの味わいが変わってくるんですね。
よく使われるのは、次の5種類です。
1.シェリー樽
2.バーボン樽
3.ワイン樽
4.ビール樽
5.ラム樽
特によく使われるのはシェリー樽とバーボン樽。
ほとんどのウイスキーは、このどちらかを使っています。両方使っているウイスキーもけっこうありますよ。
一つずつ見ていきましょう!
「シェリー」とは主に、スペインのアンダルシア地方へレス周辺で造られている白ワインの一種です。
普通の白ワインと違うのは、「酒精強化」といって、醸造過程でアルコールを加えることで、アルコール度数を高めていること。
白ワインのアルコール度数は通常12~13%ほどですが、シェリーは15~22%くらいになっています。これにより、劣化を防いでいるんですね。
ウイスキーに使われるのはこのシェリーを一旦詰めた後の空き樽です。(詳しく言うと、「シェリーを熟成させた樽」ではなく、「シェリーを詰めて運んだ樽」が使われています。)
つまりシェリーの風味を、樽熟成することで、ウイスキーに染み込ませているわけです。
昔は「スコッチ」といえば「シェリー樽」でした!
今はシェリーの生産量自体が減少し、シェリーの樽での輸出が禁じられたこともあり、バーボン樽が主流になり、シェリー樽はかなり貴重になってきています。
シェリー樽のウイスキーの特徴はこんな感じ。
・レーズンやドライフルーツのようなフルーティーで芳醇な香りと甘味
・紅茶のタンニンのような渋み
・シナモンのようなスパイシ―感
もちろん、熟成年数や樽材の種類、元々のシェリーの種類などによっても味わいは変わってきます。
代表的なシェリー樽は次の3つです。
オロロソ樽(オロロソシェリーカスク)
オロロソはシェリー酒の中でも香りが強く、辛口であることが特徴。
これで熟成したウイスキーは、「フルーツの香りが強く、ナッツのように香ばしい」感じになります。
熟成感もかなり出るということで、ザ・グレンリベット、グレンモーレンジィ、アベラワー、グレンドロナックなど多くのスコッチに利用されています。シェリー樽の代表格、といえますね。
フィノ樽(フィノシェリーカスク)
フィノは、オロロソと同様に辛口ですが、オロロソよりも口当たりが軽いシェリーです。
これで熟成したウイスキーは、「柑橘系とリンゴのような香り、スパイシ―な余韻」が特徴です。
ペドロ・ヒメネス樽(PXシェリーカスク)
ペドロ・ヒメネスは、干しブドウを原料に使った、かなり甘口のシェリー。
これで熟成したウイスキーは、「レーズンの強い甘み、ダークチョコのようなほろ苦さ」が特徴です。
他にも、オロロソとフィノの中間の「アモンティリャードカスク」(ナッツ&ハーブの風味)や、甘口の「モスカテルカスク」(カシスの甘味&マスカットの香り)などがありますが、あまり多くは使われていません。限定品などで時々見る感じですね。
「酒精強化ワイン」には、シェリーの他にも「マデイラワイン」「ポートワイン」「マルサラワイン」があり、どの樽もウイスキーの熟成に使われています。これらは主に「後熟」で使われることが多いですね。
「シェリー樽」との違いももちろんありますが、味わいの方向性としてはほぼ同じ、と考えてよいと思います。
「香り高く、熟成感のあるウイスキーをじっくり楽しみたい」という人には「シェリー樽熟成」のウイスキーがおすすめです!
ただし、よく、「シェリー樽熟成はハイボールには向かない」と言われています。
冷やして炭酸で薄めることで、「香り」「甘味」が減ってしまい、シェリー樽の「苦味」「渋味」、さらに、「ゴム感」「硫黄臭」などが強調されてしまうからなんですね。
でもそこは好みの問題。シェリー樽熟成でも、ハイボールが美味いウイスキーはけっこうありますよ!
シェリー樽熟成のウイスキーは、「マッカラン12年」「グレンドロナック12年」「アランシェリーカスク」などたくさんありますが、OKKAがまず入門編としておすすめするならこれ!
「グレンファークラス12年」です!
100%シェリー樽熟成にもかかららず、お値段はリーズナブル!ストレートやロックはもちろん、ハイボールでも十分美味いですよ!
現在のウイスキーの主流が「バーボン樽熟成」。
スコッチウイスキーの約90%はバーボン樽熟成、というくらい浸透しています。
バーボンは、トウモロコシやライ麦、小麦などを原料にしたアメリカンウイスキー。
「新樽で熟成させる」ことが決められているので、一度使った樽は、「バーボン」には使えなくなります。
だったら、それをウイスキーの熟成に利用しよう!となったわけですね。
シェリー樽より、ずっと手に入れやすいので、主流になったわけです。
バーボン樽熟成のウイスキーの特徴はこんな感じ。
・飲み口はライト。
・バニラや蜂蜜の甘味と香り。
・バナナのような「黄色い果実」のフレーバー。
・トーストやカラメルのような香ばしさ。
バーボン樽の特徴は、「チャー」といって、樽の内側をバーナーで焦がしていること。
この工程により、バーボンに「バニラ香」「カラメル香」「トースト香」などが付加されると言われています。
当然、「バーボン樽熟成」のウイスキーにも、こうした特徴が出てくるんですね。
甘く、フルーティーでクセがないので、ウイスキーを飲みなれてない人には「バーボン樽熟成」のウイスキーがおすすめです!
さらに、バーボン樽熟成のウイスキーは、炭酸で割った時にネガティブな要素があまり出ないので、ハイボールにすると美味いものが多いです。
おすすめもたくさんありますが、特におすすめしたいのはこれ!
「グレンモーレンジィ10年 オリジナル」です!
ハイボールにしたときの美味さはバツグン!ぜひ飲んでほしいウイスキーの一つです。
ワインを熟成していた樽を使うのが「ワイン樽熟成」のウイスキー。
きれいで濃い色合い、レーズンのフルーティーな香り、タンニンの渋味が特徴です。
バーボン樽やシェリー樽と違って、「100%ワイン樽」で作られることは少ないです。
・ワイン樽で熟成したウイスキーを一部ブレンド
・ワイン樽で後熟
使われ方としては、このどちらかが多いですね。
ワインの風味がけっこうするので、赤ワイン好きな人におすすめです!
ちなみに、有名なサントリーの「山崎」も、ワイン樽熟成の原酒がブレンドされています。ボルドーの赤ワインの樽が使われているそうですよ。
ハイボールと言えば「白州」が有名ですが、「山崎」のハイボールもかなり美味いですよ!
定価での入手は困難ですが、もし手に入れば試していただきたいと思います!
その名の通り、「ビールを詰めていた樽」を使ったのが「ビール樽熟成」。数はそれほど多くありませんが、主に「後熟」に使われています。
ビールの持つホップの香味や、爽やかな苦味が特徴です。
一般的なラガービールではなく、IPA(インディアペールエール)やスタウト(黒ビール)のような、味わいが特徴的なビールの樽が使われることが多いです。
ホップの香りや苦味が感じられるので、クラフトビール好きな人におすすめです!
一番手に入りやすい「ビール樽」熟成のウイスキーはこちら。
「ジェムソン スタウトエディション カスクメイツ」です!「スタウトビールの樽」を後熟に使っています。
ハイボールにすると、ホップの香味やカカオやコーヒーのようなほろ苦さが感じられて美味いですよ!
これも、後熟で使われることが多い樽です。「ラムカスクフィニッシュ」って最近よく聞きますよね。
ラム酒とは、サトウキビを原料とする蒸留酒です。
樽熟成をしていない透明なものを「ホワイト・ラム」、樽熟成をして、薄い琥珀色になったものを「ゴールド・ラム」、濃い褐色のものを「ダーク・ラム」と呼びます。
ウイスキーの後熟には、ゴールド・ラムやダーク・ラムに使用された樽を使用します。
トロピカルフルーツのようなフルーティーで甘い香りが特徴です。
トロピカルフルーツを感じることができるので、甘いウイスキーが好きな人におすすめです!
2021年には、デュワーズが「デュワーズ8年 カリビアンスムース」を発売して話題になりました。
でも最近はほとんど見なくなり、ネットでも高騰でしているので、今(2022年)おすすめするのはこちら!
「ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ」です!
ハイボールにしても、黒砂糖のような甘味やトロピカルフルーツの香りが感じられて美味いですよ!
この他にも、「ブランデー樽」「テキーラ樽」「日本酒樽」など、様々な樽が、ウイスキーに使われるようになってきています。
その組み合わせはもう無限大と言っていいくらいです。
まずは「シェリー樽」「バーボン樽」を基本に、自分の好きな樽の味わいを見つけていくのがいいと思います!
ウイスキーの樽の種類 材質別
ウイスキー樽は材料となる木材によって分類されることもあります。
樽の材質によっても、ウイスキーの風味が異なってくるんですね。
ウイスキーの樽にはすべてオークの木が使われています。オークは日本で楢(ナラ)の木のことです。いわゆる「ドングリの成る木」ですね。
オークの種類は、世界に300種類以上あると言われていますが、その中でも「ウイスキーの樽」として使われるのはほぼ次の4種類だけです。
1.アメリカンホワイトオーク
2.スパニッシュオーク(コモンオーク)
3.フレンチオーク(セシルオーク)
4.ジャパニーズオーク(ミズナラ)
一つずつ見ていきましょう!
主に北米に自生するホワイトオークを材料に使ったのが「アメリカンホワイトオーク樽」です。「アメリカンオーク樽」とも言いますね。
バニラの果実に含まれるバニリンと呼ばれる香気成分が強いので、熟成に使用すると、ウイスキーにバニラの風味がつきます。
さらい、リンゴや洋ナシのようなフルーティーな香りも生まれてきます。
基本的に、バーボンはほぼこの「アメリカンオーク樽」が使われています。
ということは、「バーボン樽熟成」のウイスキーは、「アメリカンオーク樽」が使われているということ。
「アメリカンオーク樽」=「バーボン樽」ということですね。
(中には「アメリカンオーク樽」で「シェリー樽」というのもあるらしいですが、まだ数は少ないです。)
アメリカンオーク樽(バーボン樽)のおすすめは、グレンモーレンジィ以外ならこれ!
「ザ・グレンリベット12年」です!
ハイボールにしても、バニラや蜂蜜の甘さ、青リンゴの香りがいい感じです!
コモンオークはヨーロッパ産2大オークの一つ。その中でも、特にスペイン産のスパニッシュオークがウイスキーの熟成によく使われます。
一般的に「ヨーロピアンオーク」と呼ばれることもあります。
タンニン分やポリフェノールを多く含み、レーズンやドライフルーツ、シナモンのような風味がつくと言われています。
主に「シェリー樽」に使われているので、「スパニッシュオーク樽」=「シェリー樽」と考えてよいと思います。
おすすめは、グレンファークラスの他にはこのウイスキー!
「グレンドロナック12年」です!
これも、シェリー樽熟成なのに、ハイボールにしても美味いウイスキーの1本。ちょっと高めですが、マッカランに比べたらずっとコスパがいいと思いますよ!
ヨーロッパ産2大オークのもう一つがこの「セシルオーク」。フランス産が多いので、「フレンチオーク」とも呼ばれます。
ワイン樽やブランデー樽として使われて、それがウイスキーの熟成にも使われるようになりました。
タンニン量が多く、ウイスキーに渋味やスパイシーな香りを与えると言われています。
フレンチオークはワイン樽やブランデー樽に使われることが多いので、「フレンチオーク樽」=「ワイン樽またはブランデー樽」と言っていいと思います。(ちょっと乱暴かも?)
フレンチオーク樽のウイスキーのおすすめはこれ!
「ザ・グレンリベット15年 フレンチオークリザーブ」です!
ハイボールにしても、華やかでフルーティーな香りと、心地よい渋味が感じられて美味いです!
ミズナラ樽は、ジャパニーズオークとも呼ばれる日本固有のオークを材料にした樽のことです。
ミズナラ樽は、ウイスキーの熟成に使用すると伽羅や白檀のような、「オリエンタルなお香の香り」が生まれるのが特徴です。
また、主に「新樽」が使われることが多いのも、特徴の一つですね。
最初にミズナラ樽を使ったのはサントリーだと言われています。
戦時中、海外からの樽の輸入ができなかったときに、苦肉の策として、それまでウイスキーの樽としては使われていなかったミズナラを使ったところ、独特の風味が生まれることが分かりました。
その後、その独特な風味に魅せられた人が増えていき、他の国でも、ミズナラが使われるようになってきています。
ただし、他のオークと比べて固いので、加工が難しく、「ウイスキーの樽」としてはかなり使いにくい樽であることも確かです。それゆえに希少性が高く、値段もかなり高くなってしまう傾向があります。
それでも、ミズナラ樽の個性は唯一無二なので、機会があればぜひ飲んでほしいと思います!
おすすめのウイスキーは、「ミズナラ樽熟成」ウイスキーとしては一番手に入りやすいと思われるこちらのウイスキー。
「シーバスリーガル ミズナラ12年」です!
めちゃめちゃ飲みやすく、ハイボールにしても、ほんのりとミズナラ樽の風味が味わえますよ。
樽について知っておくと、
「スパニッシュオーク、とラベルに書いてあるので、シェリー樽熟成なんだな」
「フレンチオーク、とあるので、ワイン樽の風味がついているんだな」
などと、ウイスキーを選ぶ時の基準になります。
樽についての知識を身につけることで、より、自分好みの美味いウイスキーに出会える可能性が広がりますよ!
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