なぜ日本でここまで「ハイボール」は広まったのか?ハイボール復活の歴史!

知識・雑学

ハイ!OKKAです!

みんな大好きハイボール!
でも、ハイボールって、実は1960年ごろには流行ってたけど、1980年代から2000年代前半まではほとんど飲まれることはなかった、って知ってました?

そんなハイボールが復活したのはなぜなのか。今回は「ハイボール復活の歴史」に迫ってみたいと思います!

戦前のウイスキー事情

そもそも、ウイスキーが日本に入ってきたのは、嘉永6年(1853年)のペリー来航の際だと言われています。しかし、一般に広がることはなく、その後は長く「知る人ぞ知る洋酒のひとつ」として、主に富裕層などに珍重されていたようです。

ウイスキーの存在が一般的に知られるようになったきかっけのひとつが、昭和4年(1929年)にサントリーの前身にあたる壽屋(コトブキヤ)が国産ウイスキー第1号「白札」を発売したこと。
でも、この白札、本場のウイスキーに近づけようとしたために、ピートが効いていて、当時の日本人には「薬臭い!」とあまり受け入れられることはなかったそうです…。

そこでサントリーが社運をかけて販売したのが、みなさんご存じの「角瓶」
1937年のことでした。これがヒットして、一般の人でもウイスキーを飲む文化が少しずつ日本に広がっていきました。

戦後~バブル期

ウイスキーは、第2次世界大戦後、さらに庶民に広まっていきます。それまでは日本酒が中心でしたが、ライフスタイルの変化とともに洋酒への関心が高まり、ウイスキーがどんどん飲まれるようになってくるんですね。

それに拍車をかけたのが、今はもう無くなった「ウイスキーの級別制度」
級別課税制度は1947年(昭和16年)からあったのですが、1953年(昭和28年)の酒税法改正によって、ウイスキーは特級、1級、2級の3区分に分けられるようになります。

「本格ウイスキー」っていうのは、いわゆる「モルトウイスキー」のことですね。
さらに、1978年にはこんな感じに。

これにより、たとえばサントリーなら、

  トリス(2級酒)

レッド・ホワイト(1級)


  角瓶(特級)

オールド・リザーブ(特級)

 
ローヤル(特級) 
※「響」が出るまでは「ローヤル」がサントリーの最高級ウイスキーでした。

こんな風に、消費者が社会的地位の向上に応じて、より高級なブランドへと移行するスタイルが定着していったのです。

さて、そうして市民権を得たウイスキー。でも、高度数の蒸留酒を飲みなれていない日本人としては、ウイスキーの「40度以上」という度数は高すぎた…。

そこでよく飲まれたのが「ハイボール」なんですね!(やっと出てきた!)
1950~60年代、2000店以上あったと言われる「トリスバー」の看板メニューが「トリスハイボール」でした!当時は今よりも濃く、比率も1:2.5くらい。アルコール度数12%くらいだったそうです。

サントリー ホームページ (suntory.co.jp)より引用

しかしその後、「じっくり飲める」「高級感がある」ということで、ハイボールよりは「水割り」「ロック」といった飲み方が主流になっていきます。
「ハイボール」は「安いウイスキーの飲み方」という感じになっちゃうんですよね…。

そして、1989年(平成元年)、ウイスキーの等級制度が廃止。ウイスキーのステイタスとしての価値がなくなり、逆に2級の安かったウイスキーの値段が高くなってしまいます。
さらに、バブル終焉と共に、ウイスキーブームが終わってしまいます…。ウイスキー冬の時代の到来です。

2008年 角ハイボール復活プロジェクト始動!

この状況をなんとかしようと、サントリーが立ち上げたのが、「角ハイボール復活プロジェクト」でした!

当時、居酒屋ではほとんど売れていない、「おっさんの酒」と思われていたウイスキーを、なんとか若者にも飲んでもらいたい。
そこで目をつけたのが「ハイボール」という飲み方だったわけです。

「水割り」はおっさんくさい。「ロック」や「ストレート」は濃すぎて食事に合わない。
でも、「ハイボール」は、既にバブル前にはほぼ飲まれなくなった飲み方なので、マイナスイメージがついてなかったんですね。若者にとっては「新しい飲み方」だったのです。
サントリーはそこに目をつけたわけです。

ビールのように、居酒屋で、初めの1杯として飲んでほしい。いろいろな料理に合わせて飲んでほしい。
そう考えたサントリーが行ったのが「レシピの改良」でした。それまで1:2.5だったハイボールの比率を1:4として、度数も7%程度にし、「乾杯してグビグビ飲める」ようにしたのです。

加えて、グラスではなくジョッキを使用するようにしました。ジョッキの形状も、「角瓶」のデザインを元にしてるんですね。

サントリー ホームページ (suntory.co.jp)より引用

さらに、「角ハイボール3か条+1」を提案。どの居酒屋でも、これを参考にすれば、美味しいハイボールを作れるようにしたのです。

角ハイボール3か条+1
①ジョッキいっぱいに氷を入れる。
②冷やしたソーダを静かに注ぎ、縦に1回だけ混ぜる。
③ウイスキー1に対してソーダを4の割合で入れる。
プラス1…レモンを入れる。

また、「1:4の黄金比率のハイボールがどこでも飲めるように」と、「ハイボールタワー」を作ったり、ツイッターを利用して「ハイボールなう!」という投稿キャンペーンを行ったり、女優の小雪さんを起用した「角ハイボールのCM」(「ウイスキーがお好きでしょ♪」というアレです。)を作ったりと、様々な工夫を重ねていったんですね。

ハイボールタワー 
ぐるなび – レストラン・宴会予約 グルメ情報サイト (gnavi.co.jp)より引用

このような努力が実って、ついにハイボールの流行が起こりました!
翌年の2009年には、たった1年で
・前年度比で17%アップの売り上げ
・ハイボールを扱う店が1万5000軒から6万軒に増加

などの成果が表れてきます。

さらに、2014年のNHKの朝ドラ「マッサン」の人気と、サントリーの「山崎」「白州」「響」が、海外のウイスキーコンテストで軒並み金賞を取るなど、海外からの評価も高まったことが追い風になり、現在のブームに続いていくわけです。

現在では2008年当初は8万ケースだった角瓶の売り上げも、80万ケースに達してる(なんと10倍!)そうですよ。

こんなわけで、現在日本でハイボールが一般的に飲まれているのは、「サントリーのおかげ」って言えるわけですね。
サントリーさん、ありがとうございます!と思いながら、ハイボールを飲むOKKAなのでした。

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