「スモーキー」と「ピーティー」の違いって何?「フェノール値」についても解説!

知識・雑学

ハイ!OKKAです!
スモーキーなウイスキーっていいですよね~!
ハイボールにして、燻製したベーコンなどの肉料理と合わせたら最高です!

でも、「スモーキー」じゃなく「ピーティー」ということもあります。
この違いは何なのか。さらに、「どれくらいスモーキーなのか」を示す値とされる「フェノール値」についても解説していきます!

そもそも、なぜ「スモーキー」な香りがするの?

「こっちのスコッチ、スモーキー」というのは、「ティーチャーズ」のキャッチコピー。

サントリーHPより引用

こんな感じで、「スモーキー」であることを売りにしているウイスキーはたくさんあります。

「スモーキー」はその名の通り「煙っぽい」ということ。「近くで木が燃えているような煙っぽい感じの香り」をそう呼びます。

最近は、スモーキーな香りを持たない「ノンピート」のウイスキーもたくさんありますが、昔の伝統的なスコッチウイスキーは「スモーキー」な香りを持つものがほとんどでした。

なぜそのような香りがつくのか。それはウイスキーの製造工程に秘密があります。

ウイスキーの製造工程の中に、「大麦を発芽させる」というのがあります。これを「モルティング」といいます。
アルコール発酵を行うためには糖が必要なのですが、大麦そのままの状態では糖はデンプンという形をとっています。デンプンを糖に分解するために、発芽を行い大麦麦芽(モルト)に加工することで初めてウイスキー造りに使用できるようになるのです。

ただし、発芽が進みすぎてもダメなので、ちょうどいいところで止める必要があります。
そのために、熱を加えて麦芽を乾燥させるのですが、このためにスコットランドで主に使われていたのがピート(泥炭)なんですね。

ピート(泥炭)

スコットランドにはもともと大きな樹木や森林が少なく、決して豊かな土地というわけではありませんでした。森林の代わりに広がっていたのが、「ピート湿原」です。

スコットランドの湿原
Whisky Magazine Japanより信用

「ピート(泥炭)」とは、様々なコケ類や葦(あし)、そしてヘザー(ヒース)などの植物が長い年月をかけて堆積して、空気が触れない条件下でゆっくりと分解、炭化したものです。
ピート層の厚さは数十cmから数m。100年で数cm程度、1000年で15cmほどの堆積だと言われています。ものすごい時間がかかっているんですね。

スコットランドでは、昔からこの「ピート」が薪や炭に代わる燃料として使われてきました。
初夏に掘り出されたピートを数か月乾燥させて、それを燃やしていたのです。

したがって、ウイスキーの麦芽を乾燥させるときにも、主にこのピートが使われてきました。
その時に、木を燃やしたような香りが麦芽に付き、それがウイスキーの香りになったというわけです。

「スモーキー」と「ピーティー」はどう違う?

そんなウイスキーの「スモーキー」な香りを「ピーティー」と表現することがあります。
これって同じことなのか?それとも違うのか?そのあたりを解説していきます!

そもそも、「木が燃えたような香り」全般を指して「スモーキー」といいます
そして、「スモーキー」は次の3つの香りに分類されます。

1.ピーティー 
燻した燻製の香り。スモーキーの中でも、特にいい香りを指す。
2.メディシナル
正露丸やイソジンのような薬品の香りを指す。(ヨード香とも言います。)
3.ハーシュ
スモーキーの中でもネガティブな、いがらっぽい、いやな香りを指す。

このように分けられてるんですが、ぶっちゃけウイスキーの香りを「メディシナル」「ハーシュ」と表現しているのを見たことはほとんどありません。一般的には伝わりにくいし、この辺はおそらく「専門用語」だから、ということだと思います。

ということで、大体「スモーキー」も「ピーティー」もほぼ同じような意味だと考えていいと思います。表現する人次第、ってことですね。
「スモーキーでピーティーな」などと表現される場合もありますが、これは「煙っぽいけど燻製みたいでいい香り」ってことです。

ちなみに、OKKAは基本的に「スモーキー」と表現しています。そのほうが「煙っぽい」感じが伝わると思っているからです。さらに、「メディシナル」な香りは、「ヨード香」と表現しています。

なぜアイラのウイスキーは「薬っぽい」のか?

スモーキーなウイスキーの代表格として挙げられるのが「ラフロイグ」「アードベッグ」「ボウモア」などのアイラ島のウイスキーです。

ラフロイグ蒸溜所
旅行のクチコミとホテル・ツアー・航空券の料金比較【フォートラベル】 (4travel.jp)より引用

これらのウイスキーは、もちろん「煙っぽさ」もありますが、「正露丸やイソジンのような薬っぽい香り(ヨード香)」があるのが特徴。
苦手な人もいると思いますが、ハマるとこれが「いい香り」に感じるんですよね…。

なぜアイラ島のウイスキーは「薬っぽい」のでしょうか。

それは麦芽を乾燥させるために焚くピートに「海藻」が含まれているからです。

ヨード香の「ヨード」とは、昆布やわかめなどの海藻に含まれている『ヨウ素』と呼ばれるミネラルのこと。

アイラ島にはほとんど木が生えていないため、その大地はずっと海風にさらされた状態にあります。特に冬になると強風が吹き、この風が島に海藻などの海産物をたくさん運んできます。

このアイラ島特有の気候や風土が影響して、島を覆うピートの湿原に海藻などが混じっていきます。
そして海藻由来のヨードをたっぷり含んだ潮っぽいピートが育まれ、それを焚くことで、麦芽にそのヨードの香りが付く…というわけなんですね。

さらに、蒸溜所自体が海辺にあるので、貯蔵や熟成の際にも、「潮の香り」が付くと言われています。

ただ、アイラのピートを、他の土地に持っていってウイスキーを造っても、決してアイラモルトのようにはならなかった…という話もあり、「海藻を含んだピート」だけが要因ではなく、アイラ島そのものの環境が、アイラモルトのスモーキーフレーバーを生み出している、ということみたいですね。

「フェノール値」って何?


ウイスキーがどれくらいスモーキーかを表すために、「フェノール値」が使われることがあります。
「フェノール類」とは、「ベンゼン環に水酸基を持つ化合物の総称」ということなんですが、化学に詳しくないと何のことかわかりませんね…。
まあ、こんな感じのヤツです。高校で習ったような…。

フェノール類

ウイスキーの「スモーキーさ」の元は、クレゾール(薬品のような匂い)、エチルフェノール(動物の皮のような匂い)、グアイアコール(コーヒーが焦げたような匂い)などのフェノール化合物だとされています。このフェノール化合物の濃度を表すのが「フェノール値」なんですね。

フェノール値は「ピートを焚いた後の麦芽」で測定し、ppmという単位で表されます。
ppmは「parts per million」つまり「100万分の1」の略です。したがって、1ppmは0.0001%ということです。
完成したウイスキーを測定しているわけではないので、必ずしも「フェノール値が高い方がよりスモーキー」というわけではないのですが、まあ一般的には、

フェノール値が高い=スモーキーフレーバーが強い

と考えてよいと思います。

ちなみに、いわゆる「ノンピート」(乾燥時にピートを使っていない)ウイスキーでも、仕込み水にピートの香りが付いているなどの理由で、2~5ppmくらいはあるそうです。

スモーキーで有名なウイスキーの「フェノール値」はこんな感じ。

タリスカー10年…18~22ppm
ボウモア12年…25~30ppm
カリラ12年…34~38ppm
ラフロイグ10年…40~45ppm
アードベッグ10年…55ppm

どれも、「煙っぽい」だけではなく、「ヨード香」も感じます。

また、毎年ブルックラディ蒸溜所から限定で発売される「オクトモア」シリーズには、100ppmを超えるものも結構あります。
2018年に出された「最強」と言われる「オクトモア08.3 アイラ・バーレイ」のフェノール値はなんと309.1ppm

といっても、飲んでみると「アードベッグの6倍スモーキー」というわけではないらしいですけどね…。

「スモーキー強めのアイラウイスキーを飲んでみたいけど、どれから飲めばいいの?」と思っている方には、アイラモルトの12年物としてはリーズナブル、フェノール値もちょっと低めの「ボウモア12年」をおすすめします!
これを美味いと感じることができれば、アイラモルトの沼にどっぷりハマることになるかも…!

ということで、ウイスキーの「スモーキー」についての解説でした!


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