ハイ!OKKAです!
ウイスキーの特徴は、何と言っても「樽熟成が必須」というところ!
樽について知れば、ウイスキーがさらに美味しくなりますよ!
ということで、今回は「樽の大きさとウイスキーの味の関係」について解説していきます!
ちなみに、「樽の材質や履歴」についての解説はこちらを!
ウイスキーの樽はすべてオーク材でできています。
これは、次のような理由によるもの。
ウイスキーの樽に「オーク材」が使われる理由
・頑丈で、繊維の目が詰まっているので、防水性・耐久性に優れている。
・タンニンやポリフェノールなどの成分が多く含まれており、それがウイスキーの香味になる。
・固いだけでなく、粘りや弾力があって、樽の形に加工しやすい。
さらに、作られる樽の大きさにもいろいろあります。
基本的に、樽の容量が小さいほど熟成が早くすすみ、樽の容量が大きいほど熟成が遅くなります。
容量小…短期熟成に向いている。
容量大…長期熟成に向いている。
ということなんですね。
大きさによる種別はこんな感じ。
めっちゃあるやん!と思われるかもしれませんが、ウイスキーの樽としてよく使われるのは、この中の4種類。
A.S.B(アメリカンスタンダードバレル)
ホグスヘッド
パンチョン
バット
これだけです!
あと、追加で「クォーターカスク」を知っておけば、ほぼ大丈夫!
一つずつ解説していきますね!
A.S.B(アメリカンスタンダードバレル)
通常、「バレル」「バーレル」と言われるのがこの樽。
主に、アメリカンホワイトオークから作られています。
世界的に見れば、最も多く使用されているタイプのウイスキー樽です。(「バレル」=「樽」を指す場合もあります。)
容量は180リットル~200リットル。
と言っても、イメージしにくいかもしれませんね。身の回りのものだと、「浴槽」の容量が平均200リットルくらいなので、「バレルは浴槽1杯分」と考えていいと思います!
アメリカンホワイトオークを材料に作られており、その新樽は主に「バーボン」や「カナディアンウイスキー」の熟成に使用されています。そして、その後、スコッチやジャパニーズウイスキーなどの熟成に使用されます。
なので、おおざっぱに言えば、
「バレル、と記載があればバーボン樽熟成」
と考えていいと思います。
「ニッカ・フロム・ザ・バレル」の「バレル」もここから来ています。つまり、「フロム・ザ・バレル」はバーボン樽が使われていますよ、ということが分かるわけです。
ホグスヘッド
容量は220リットル~250リットル。
ウイスキーの熟成には「バレル」に次いでよく使われる樽です。
「バーボンバレル」は輸出の際に、バラバラに解体されることが多かったので、それを組みなおして、少し大きめの樽にしたのが「ホグスヘッド」なんですね。
大きくすることで、樽由来の木香の影響を弱め、より長期熟成に向くようにしたのです。
実は、スコッチウイスキーとアイリッシュウイスキーは、ほぼこのホグスヘッドで熟成されます。
「バレル」のままだと、スコッチお得意の「長期熟成」がやりずらいということだと思います。
バーボンバレルから作られることが多いので、「ホグスヘッド」とあれば「バーボン樽熟成」…と言いたいところですが、「シェリーホグスヘッド」もあります。
見分け方としては、単に「ホグスヘッド」または「バーボンホグスヘッド」と記載があればバーボン樽熟成。
シェリー樽熟成の場合はほぼ「シェリーホグスヘッド」と記載されています。
ちなみに、ホグスヘッドとは「豚の頭」の意味で、ウイスキーを詰めた樽の重さが豚一頭分と同じことからこう呼ばれるようになったそうですよ!
パンチョン
容量は300リットル~500リットル。
かなり容量に幅がありますが、主に480リットルくらいのものが多く使われるそうです。
特徴としては「背が低めで、ずんぐりしたタイプの樽」です。
容量が大きく、ウイスキーとの接地面が少ないため、熟成がゆっくり進むと言われています。
アメリカンホワイトオークやヨーロピアンオークから作られ、シェリー酒の貯蔵や、ラム酒の熟成にも使われていました。
「パンチョン」と記載のあるウイスキーは少ないのですが、おそらく最も有名なのは「山崎 パンチョン」ですね。
サントリーでは、自家製樽工場で、厳選した北米産ホワイトオーク材だけを使って、パンチョン樽をつくり、「山崎」の熟成樽として使用しています。
この「パンチョン樽」で熟成されたウイスキーのみで造られたのが、「山崎 パンチョン」。
「2020EDITION」は、定価は9000円なのですが、現在はプレ値がついて、とんでもない値段になっています…。(大体10万円~15万円…。)
OKKAもまだ飲んだことありませんが、公式によると「青りんご、バニラ、アカシアハニーの香り」「柔らかく穏やか、バタースコッチの味わい」だそうです。もし飲むなら個人購入ではなく、バーで飲む方がいいでしょうね。
バット
容量は500リットル。
パンチョンとほぼ同じですが、パンチョンより背が高くて少し細身になっています。
ヨーロピアンオークやアメリカンホワイトオークで造られており、主にシェリー酒の輸送、貯蔵用に使われます。
その後、ウイスキーを熟成させる「シェリーバット」として使われます。
基本的に
「バット=シェリー樽熟成」
なんですね。
スペインの法改正により、1981年からはシェリーの樽による輸出が禁じられたため、近年では「ウイスキーメーカーが作った樽にシェリー酒を詰め、風味を樽につけるため一定期間保管する」という、「シーズニング」と言われる手法で、シェリー樽を作るようになっています。
この場合も、樽の大きさは「バット」が主流のようです。
ちなみに、「バット」はラテン語で「大きい樽」を意味します。
クォーターカスク
容量は45~50リットル。
その名の通り、「バレル(180~200リットル)」の約4分の1のサイズの樽が、「クォーターカスク」です。
ただし、「バット(500リットル)の4分の1」つまり125リットルの樽も「クォーターカスク」というらしいんですね。
調べてみると、ウイスキーの熟成に使われるのは、125リットルの方が多い感じです。
いずれにせよ、他の樽に比べてかなり小さいので、熟成が早く進みます。
そこで、他の樽で熟成した後、さらに樽の風味をウイスキーにつけるために「後熟」で使用されることが多い樽です。
「クォーターカスク」と記載があれば、「樽の木香がより強調されたような風味がある」ということなんですね!
その他の樽
よく使われるのはここで紹介した「バレル」「ホグスヘッド」「パンチョン」「バット」の4種類、プラス「クォーターカスク」ですが、もちろん他にも様々な大きさの樽があります。
例えば「バリック」(250~300リットル)は、ワイン熟成用の樽で、台湾の「カバラン」で、「ソリストシリーズ」に使われていました。
「ドラム」(650リットル)は、ポルトガルのポートワインやマデイラワインの熟成用に使われています。ウイスキーでは「後熟」に使われることが多い樽です。
「ゴルダ」(700リットル)は熟成には使われず、主にシェリー酒の輸送用として作られました。
樽の大きさを明記しているウイスキーは「こだわりのウイスキー」
「樽の大きさ」について解説してきましたが、売られているウイスキーの多くには「樽の大きさ」についての表記がありません。
逆に言えば、「ホグスヘッド」や「バット」など、樽の大きさが明記されているウイスキーは、「特別な、こだわりのあるウイスキー」ということができます。
通常、「樽の大きさ」が明記されているウイスキーは、後熟でよく使う「クォーターカスク」を除き、「その樽で熟成された原酒を100%使っている」場合がほとんどです。
「バーボンバレル」「バーボンホグスヘッド」…バーボン樽100%
「シェリーバット」「シェリーホグスヘッド」…シェリー樽100%
というわけなんですね。
そのため、通常のオフィシャルでは数が少なく、「限定ボトル」や「ボトラーズウイスキー」に多く見られます。
ちなみに、OKKAが所蔵している「樽の大きさ記載のウイスキー」は以下の3本!(2022.10現在)
1本目は「アラン バレルリザーブ」です!
バーボンバレル特有のバニラ感やフルーティーな香りがいい感じです!ハイボールが美味い!
2本目は「アラン クォーターカスク」!
ハイボールにしても「樽感」がしっかり味わえます!
3本目は「アラン プライベートカスク8年 シェリーホグスヘッド」です!
8年熟成ながらがっつりシェリーの風味が味わえて美味い!好みは分かれるかもですが、ハイボールも美味いです。
(アランばっかりですみません…。でも、それだけ樽にこだわっているってことですね。)
1つの樽は何年使用されるのか
樽の寿命は大体50年。長いもので70年と言われています。
もちろん、最初の状態でずっと使えるわけではなく、側板を交換したり、継ぎ足したり、分解してサイズを変えたりして使っていくのです。
その50年~70年の間に、中身を4~5回入れ替えます。
1回目は新樽としてバーボンやシェリーが詰められます。
2回目はスコッチなどのウイスキーが詰められます。これを「ファーストフィル」と言います。
「ファースト」と言っても、樽が新品ということではありません。以前にバーボンやシェリーなどを熟成させていた空き樽に初めてウイスキーを詰めることをこう呼ぶのです。
その後、2回目にウイスキーを詰めるのが「セカンドフィル」、3回目は「サードフィル」と呼ばれます。
セカンドフィル以降は総じて「リフィル」と呼ばれたりもします。
当然、樽の持つ香味成分や、以前に入っていた酒の影響が最も出るのが「ファーストフィル」です。
「セカンド」「サード」となるにつれて、樽からの影響は少なくなっていきます。
どちらが良いというわけではなくて、「樽の影響をより受けているのがファーストフィル」「もともとのウイスキーの持つ香味や味わいを生かそうとしているのがリフィル」と考えるとよいと思います。
ウイスキーの樽は奥が深いので、まだまだ書き足りないこともあるのですが、今回はこのへんで。
この記事がウイスキー選びの参考になれば幸いです!
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